04 レイラ

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04 レイラ

 おそらく女性に疎いのだろう、とは思っていたけれど、案の定イオニアは性交の経験がないようだった。  でもそれで良い。むしろ嬉しく思う。  レイラは内心ほっと胸を撫で下ろした。  唾を垂らした肉塊をぬちぬちと上下に扱けば、イオニアは面白いほどの反応を返してくれる。堪え切れずに短く吐かれる息や、悩ましげに寄せられた眉なんかは、レイラの気分を一層良いものにした。 (……………可愛い、もっと見たい……)  舐めながら胸を甚振ったらどんな風に喘ぐのだろう?  きっとすべてが初めてのイオニアは、従順な生徒のようにレイラに従ってくれるはずだ。肉奴隷だなんて言い出した時は驚いたけれど、相手は非力な童貞。それなりに経験のあるレイラにとっては赤子同然。 「レイラ……ありがとう。もう良い」 「え?でもまだ、」 「早く挿れたいんだ」  困ったように少し顔を赤くしてそう言うイオニアを、レイラは思わず抱き締めたくなった。「なんて可愛いの!」とぐりぐり頭を撫でて、飼い犬にするようにキスしながら。 「あ、そ、そうね……ちょっと待ってね」  レイラは床に手を突いて体勢を整える。 「最初は私がリードするわ。任せてちょうだい。イオニアは寝てるだけで良いから、何かあったら教えて」 「分かった」  ドキドキしながらすっかり勃ち上がった肉棒を握る。  すでに潤った秘所まで誘導すると穴に充てがった。 「………んんっ!」 「あぁ、レイラ……、」  他人の童貞喪失の瞬間を手伝うのは初めてのことで、レイラは今までに味わったことのない感動を覚えた。自分のこの身体で、イオニアは女の味を覚えたのだ。  ちょっと良いことをしたな、という満足感に浸っていたらこちらを見つめる視線に気付いた。 「動いてみても良いか?」 「えっ?あ、まぁ、良いけれど……」  言い終わる前に下からグンッと深く突き上げられた。 「………っあ…!?」 「すごいな、レイラ。これも淫紋の効果か?ナカがうねってるみたいに吸い付いてくる」 「い、イオニアっ!貴方、童貞なんだから無理しちゃダメでしょう……!」 「はぁ?」 「え?」 「俺は童貞じゃない。たしかに女は苦手だし恋人が居たこともないけど、こう見えて淫紋術師だぞ。今まで稼いだ金は全部娼館に突っ込んできた」 「………へ?」 「それなりに経験はある。レイラは筋が良いな、時間はまだたっぷりあるし、とりあえず一回イっとくか」  レイラが頭の回転を止める傍ら、イオニアはふっと息を吐いてその手でレイラの腰を掴んだ。怯んだ時にはもうすでに遅く、ばちゅんっという卑猥な音と共に深々と剛直が突き刺さる。 「っあ……えぇ、まってよ、そんなぁ…っ!」 「お前が勝手に勘違いしたんだろう」 「ひゃだ、アンタにイかされるなんて、」 「あぁー具合良い。もうちょっと締めろ」  言いながら伸びてきた手がレイラの胸の先端に触れる。そのまま器用に二本の指で扱かれれば、意図せずきゅんきゅんと下腹部は疼いた。 「んっ、だめっ、つねっちゃ……!」 「はぁ、出そうだ、上手にイけよ」 「いやぁっ……ッ!」  自分の下でイオニアがビクッと大きく肩を震わせたかと思うと、お腹の中にあたたかなものが広がった。じんわりじんわりと侵食するような熱を心地良く感じる。 「嘘でしょう?今ナカに………」  抗議しようと口を開いたレイラは、自分の腹に刻まれた淫紋がぼうっと光るのを見た。黒い墨で塗ったような淫紋の四分の一程度が赤く輝いている。 「げっ、今のでまだ半分にも満たないのか」 「な、何なのよコレ?」 「淫紋が全部赤く染まらないとお前の発情は治らないんだ。悪いが俺は用事があるから、後は自分で何とかしてくれ」 「はぁっ……!?」  投げやりなイオニアの態度に驚愕する。  スタスタと部屋を出て行こうとする黒いローブを引っ張った。 「…………なさいよ」 「え?」 「アンタが責任を取りなさいよ!!」  無責任な魔術師を再び床に引きずり倒して、レイラはその上に跨った。
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