06 レイラ

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06 レイラ

「んっ……イオニア、あかちゃんみたい、」  ちゅうちゅうと胸の先端を吸い続ける魔術師を見下ろしてレイラは恥ずかしくなる。伸び放題の派手な赤毛をもう少し整えて、それらしい格好でもさせれば、イオニアは見違えるような良い男になりそうだ。  今までフードで隠れてよく見えなかったけれど、顔は悪くない。むしろ結構良い方で、自分だけが彼の素顔を知っているのだと思うと、レイラは少しだけ優越感を覚えた。 「おいひい………」  恍惚とした表情でそう言う掠れた声も良い。  彼が童貞をこじらせた残念な魔術師であることは分かったけれど、まだ救済の余地はあると考えた。つまり、上手く教育すれば、自分好みになるのではないかと。  そんなことを考えていたら、再び下腹部がズクズクと疼き出す。レイラは腰を浮かせて、まだ役目を果たせそうな肉棒を握った。 「………っふぉ!?レイラ!?」 「もう一回……がんばろう?ね?」  むくっと剛直は首をもたげる。  彼の意思はどうか知らないがこちらはヤル気があるようで。イオニアの返事は待たずに受け入れた。 「……ッ……あぁ、」  お腹がいっぱいになる感じはいつも多幸感を覚える。腹の上の淫紋はなんとか半分ほどまで色が変わっていた。順調にいけばもうすぐ満たせるだろう。  しかしその時、階下から声がした。 「レイラちゃーん!居ないのかいー?」 「………っ!!」  驚いてイオニアと顔を見合わせる。  この声はおそらくエバンズの町長だ。  頭を回転させた結果、町おこしのためのアンケートの集計を頼まれていたのを思い出す。集計結果は出ているけれど、こんな格好で出て行くわけにはいかない。  慌てて身体を起こして、レイラは部屋の扉まで走り寄った。わずかに開けた扉の隙間から顔を覗かせる。階段の下でウロウロと歩き回る太った男の姿を目撃した。 「町長!ここに居ます……!」 「お~二階におったか!」 「あ、そのままで!上の部屋の埃がすごくって掃除中だったんです。とても見せられる状態ではないから、そこに居てください!」 「分かったよ。アンケートの件じゃが、集計は終わったかいな?そこまで回答数は多くなかったと思うんだが……」 「はい、終わったんですが、確認のためにもう一度見直そうと思ってまし………っんぁ、」 「ほえ?」  不思議そうにこちらを見遣る町長に向けて、レイラはなんとか笑顔を返す。  階下からは見えない扉の向こう側、つまり部屋の中ではイオニアがレイラの腰を掴んで雄を押し当てていた。先ほどまで咥え込んでいた蜜穴は容易にそれを受け入れていく。 「なっ、なんでも、ないです……!」 「なんだか忙しそうじゃから終わったら持って来てもらおうかのう。今日中には頼めるかい?」 「っあ、すぐに、すぐッ……いきます、」 「若い子は仕事が速くてありがたいわい」  ほっほっほ!と笑いながら町長が歩き去って、やがて宿屋の扉が閉まる音がした。  レイラはドアに括り付けたベルが鳴るのを確認してその場に崩れ落ちる。すぐに後ろから覆い被さったイオニアが床に着いた胸を掴んだ。 「あぁっ、だめイオニア、またイく……っ!」 「さっさとイけよ。あんな状態でよく会話出来るなぁ、慣れてんのか?」 「ちがっ、あれはアンタが!」 「こっちもグチャグチャだ。ほんっとに、澄ました顔で俺を罵倒してたお前がここまで変態だったなんて、」  それまで放置されていた花芯にイオニアの指が触れる。二本の指で器用に根本から扱かれると、声にならない声が口から勝手に溢れた。 「あっ、あっ、ダメぇ……!いっしょにそれされたらバカになっちゃう、ダメなの……っ」 「よーし。バカになれ、レイラ」  ぎゅむっと摘まれてレイラの頭の中を電流が走った。その電流は頭のてっぺんから足のつま先までを痺れさせる。ガクガクと震えながらレイラは身体を床に預けた。  しかし、休む間もなく腕を引かれて向きを変えられる。見上げた先に余裕のないイオニアの顔があって、考えるよりも早く手を伸ばして口付けた。
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