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次の日
次の日の朝、兵藤恵はベットから起き上がった。
「電気がつかない。まだ通勤時間帯じゃないからだろうか?とにかく制服に着替えないと〜痛い何処かに足をぶつけた」
恵は窓を開けた「いつもより暗い」
何とか制服に着替えた恵は朝食を食べる為に一階のキッチンに降りた。
キッチンで母親の照美は朝食と弁当を作っていた。
電気がつかない為キャンプ用の電池式のランプを使っていた。
朝食ができるとテーブルにはいくつかの蝋燭が用意してあった。
母の照美は蝋燭に火をつけた。
「お父さんを呼んで来て」照美に言われた恵は父親の大輔を呼んだ。
大輔は下に降りて来て朝食を食べ始めた。
テレビを
処分したリビングはいつもより広く感じた。
三人はいつもなら朝食を食べながらテレビを見ている時間だった。
テレビがない三人はもともと会話なんてなかったのだ。
しーんと静まり帰ったキッチンのテーブルで黙って朝食を食べていた。
電気の時間が決まっている為カーテンを開けて外を見るとまだ薄暗かった。
学校に行く時間になると電気は一斉についた。
恵はいつも時間潰しに使っていた携帯がない為電車の待ち時間に時間を潰す事もできなくなった。
その為、恵は久しぶりに駅の売店で小説を買った。
そして久しぶりに本をじっくり読んだ。
不便に感じていた電気の制限。何だか心に余裕ができた気がした。
その日から恵は夜、外に外出しても真っ暗でレストランさえディナーの時間も短くなりすぐに閉店になってしまう為外は暗いので夜遊びすらできなくなっていた。
恵は真っ直ぐ家に帰り早い時間に夕食作りの手伝いをする毎日に変わっていった。
そうしなければ夕食を食べてる間に電気が消えてしまうからだ。
父親の大輔も早く家に帰るようになっていた。
恵は思った。電気が制限されるのも悪くない。
心に余裕ができた恵の趣味は今は夜遊びじゃなく家でランプの下で読書をする事に変わった。
時間がゆっくりと動いてるそう思うと家の中も外の景色も違って見えて来た。
暗いと何もやる事がない。夜は危ないから外出もできない。恵は時間も電気がついている時に有効に使おうと考えるようになっていた。
そういえば、最近お父さんとお母さんの会話が増えたような気がする。お父さんが早く帰って来るようになったせいだろう。電気が管理されたら社員は早く帰るしかなくなる。
電気管理も悪い事ばかりじゃない、姉が死んで初めて家の中が温かく感じた。
完
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