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法律
兵藤恵は友人の井岡陽子の家に行く事が出来ず「千住南北署」に来ていた。
「何で?私が警察に?私は携帯を持ってただけだ!どうしてこんな所に来なければいけないんだよ!」乱暴な口調で恵は警察の男に言った。
警察官は笑った。「君!法律くらいわかってるだろう!世界で決まったんだよ!明日から電気使用量は国が決める時間しか電気を使う事ができなくなるんだ!何度もニュースで言ってる筈だけど?
そして明日から実行される法律の準備として全国民は携帯を回収ボックスに今日までに入れなければいけない。電気を使うものはほとんど没収されて壊されるんだ。その事くらい知ってるだろう?国に黙って必要がないものを持っていると罰を受けなければならない。
君は本当に知らなかったようだね?明日から法律は変わる!携帯は署の回収ボックスに入れて処分になるからね」
警察の男は兵藤恵に言った。
「どう言うことだ!法律って?」
警察は言った。「明日から世界中の電気が国の管理の元でしか使えない。ほとんどの時間は真っ暗って事だな!だから懐中電灯だけは1人ずつ持っていないとね。あれは電池だからね。君、電池も売り切れかも知れないぞ?大丈夫か?そう言えば今日、君くらいの年齢の子供の携帯も取り上げたよ。その子も明日から変わる法律の事は知らなかったと言っていたなー。ニュースくらい高校生なら見るだろう普通は。
とにかく今は家に帰りなさい。明日になると日本だけじゃない世界中真っ暗になる。危ないから懐中電灯を持ちなさい」
兵藤恵は言った「法律って?どうして電気が?」
警察の男は言った「それは世界中電気の使いすぎでこのままいくと街中停電が起きるようになる。そうなると本当に必要なエアコンが夏でも使えなくなるんだ。真夏にエアコンが使えなくなれば今は生きていけない。
それを防ぐ為に電気が使える時間を国が制限する事になったんだ。
ほとんどの人が通勤する時間帯は電気を使えるただし電車やタクシーなどは電気を使っても構わない事になってるんだ。レストランの電気もモーニング ランチ ディナーの時間帯は電気はつくけどそれ以外は電気は使用できない。
料理も電気無しで生活する事になる。家では作り置きするしかなくなるだろうね。
学校でも授業中だけは電気は使用できるけどそれ以外は暗い中での生活をしなければならない。
これが【ブラック法律だよ】わかったら帰りなさい。明日から暗い中で過ごさないといけなくなるからね。足元に気をつけて。
今なら家のテレビは使えるから。携帯と同じようにテレビみたいな必要がないものは明日から処分されるんだよ。みんな新聞でニュースを見るしかなくなるね」
「えっ?新聞で?今時?」
兵藤恵は携帯を取り上げられ千住南北署を出た。
すると同じように千住南北署を出た恵と同じ歳くらいの女性がいた。
その女性は恵の親友井岡陽子だった。「陽子?陽子も?」
陽子は恵に言った「私も知らなかった。明日から法律が変わるって事。携帯が今日から回収ボックスに入れなければならないって事……」
二人はそれ以上何も話さずに黙って家に帰った。
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