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ヘタレな君と期間限定交際 -2-
「うーん…。あの、さ。そういう対象にみられるかどうか、試しに……
……1週間付き合ってみる、じゃだめかな?」
「‼︎……本当に⁉︎……付き合ってくれるの?」
(こいつ、話聞いてんのかな……?)
あまりにも嬉しそうな顔と声の返事が来たので一瞬気圧されるが、まあ、ものは試しだ、そう思いつつ深月は頷く。
「……すっごく嬉しい。即断られるかと思ってたから……あの、俺、本当に好きだから。大好きだから。
大切にする。真野くん、これからよ、よろしくお願いします」
「…………あ、ああ、うん…まあ、よろしく…」
(だから話聞いてんのかな?
一応1週間って言ったと思うんだけど…早速重い感じで来るなぁ。調子狂うよ…)
垂れた目尻の奥、きらきらと輝かせた瞳でこちらを見つめる、そんなにも嬉しそうな表情でここまで全面的に大好き感を出されると…お試し期間でなんて言ってしまった自分の方がなんだか悪いことをしているような気分になる。
まあでも正直言うと、こんなにも誰かから想われるなんて……悪い気はしない。
「真野くん…じゃ、じゃあ早速なんだけど、えーっと…し、下の名前で呼んでもいい?」
「えっ?あ、ああ、うん。いいよ、好きに呼びなよ?」
(そこ、確認取るんだ…初々しい…?いや、なんか一周回っていやらしく感じるなぁ…)
そう思いつつ、なんだか焦れったくてむず痒くて仕方ない。
「えーーとごほん。じゃあ、み、深月くん。」
「……くん付け⁉︎」
思わず吹き出してしまう。
(中学生の彼氏彼女じゃあるまいし…)
「えっ?!あ、ご、ごめん…!
深月さん、の方が良かった?」
「…‼︎……い、いや………、もう、深月くんでいいよ」
(面白いやつだなぁ……)
「……てかさ、着替えないの?篠原。
せっかくだし一緒に帰らない?途中まで。
俺、待ってるからさ」
「えっ!本当に!?」
ふと思い付きの軽い誘いにもかかわらず、目を輝かせる篠原。
予想以上の反応に圧倒される深月は苦笑いで頷く。
「わかった!すぐ着替えてくるから…うわぁ…深月くんと帰れるとか…めっちゃ嬉しい!
あのさ、俺夢だったんだよね。この休憩室から肩並べて真野く…じゃなくて、深月くんと一緒に、和気藹々と出ていくのが…ああ、まさか叶うなんて、こんな幸せでいいのかな…」
「いや、わかったからさ、早く着替えてこいって…」
(なんか、ちょっと、いやだいぶ変なやつ…?前途多難かもしれない…。)
今更になって期間限定でも付き合うことをokしたのに迷いを感じ始めている深月だった。
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