ゲームの達人

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 俺には困ったことがある。それはこのゲームをやるようになって朝起きれなくなってきたことだ。俺は大学生で授業も基本昼からにしているが、日によっては朝から行かなくてはならない日がある。頑張って行くが起きれないこともしばしば。そんなことよりも…もっと困ったことがある。それはゲームを始めて半年経つがなかなかランキングが上がらないということだ。他にもシューティングゲームはたくさんしてきたのだが、どうにも上手くいかない。どうしたものか。そう思いながら上位ランキングを見ると、自分とは比べ物にならないほどの高スコアを叩き出している人たちがいた。その中でも目に留まったのはユーザー名が個性的な人だ。 “前髪と横髪の境目” どんな人なんだろう。なんとなく女の人のイメージだ。好奇心に駆られた。と同時にゲームのコツを教えてもらいたいと思った。上手くなりたい。この人みたいにはなれなくても、今よりも上手くなりたい。そう思った俺はすぐに前髪と横髪の境目さんをフレンド申請した。  返事が来るまではバトルを何回もやってレベル上げをしていた。さっき終わった四回戦目でレベルは百まで上がった。でもまだまだ上げ足りない。きっと前髪と横髪の境目さんはもっともっとレベルが上なんだろうなと思う。俺も頑張ろうと五回戦目をやろうとした時、一件のお知らせが届いた。 “前髪と横髪の境目さんがフレンドを承認しました” 俺は早速ゲーム内のチャットに移った。 「フレンド申請した“空色”です。承認ありがとうございます」 「いえ! 申請してくださり、ありがとうございます!」 「僕はこのゲームを半年やってるんですけど、全然ランキングが上がらなくて…そこで名前に目が留まった、前髪と横髪の境目さんにゲームのコツを教えてもらいたいなと思って申請しました」 「そうなんですね あ…目に留まったんですね笑 変な名前ですがよろしくお願いします! 長いので“前横”で大丈夫ですよ!」 前横って…略し方も個性的だ。 「わかりました。前横さん、よろしくお願いします」
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