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「金森さん、それって…」
そう言いながら俺は席を立っていた。足早に金森さんの席へ向かう。
「あ、ごめんね。音鳴っちゃって」
金森さんは音が鳴ったことを謝ってきた。でも俺が話しかけたのはそんなことが理由ではない。
「あ…えっと、急にごめんね。あの…さっきシューティングゲームしてた?」
変な文章だなと思いながらもこれしか思いつかなかった。
「…うん。もしかして仁和井くんもやってるの?」
「実はそう、やってるんだ。あの…あんまりこのゲームやってる人いないからさっきの音聴いて…もうなんか声かけなきゃって思って…」
なんで俺がテンパってるのだろう。絶対金森さんの方がテンパる状況なのに。でもそんな俺を見ても金森さんは優しかった。
「わかる。自分と同じゲームやってたら声かけちゃうよね。って言いながら私は声かけられないタイプだけど」
金森さんは少し恥ずかしそうにそう言った。そして
「あ、このゲームやってるんだよね?フレンドになろうよ」
言われてしまった。そのつもりで声をかけたのに。
「えっと…ID教えてもらっていい?」
「うん」
八桁のIDを金森さんに教え検索をかけてもらった。金森さんはどんな感じなんだろう…ゲーム得意なのかな?それとも苦手?なんとなく趣味程度でやってそうだけど。
「えっ」
そう言った金森さんの様子は少しおかしかった。おそらく俺のプロフィールを見たからだと思うが…
「どうしたの?」
「あの…仁和井くんって…“空色”さん…で合ってるよね?」
「うんそうだよ」
そう返事すると金森さんはこんなことを言った。
「もうフレンドになってるじゃん」
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