べとべと、びたびた

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べとべと、びたびた

苦手。 粘土とか、乾けば固くなったりする分には納得するし、思い通りに形作るツールであればむしろ心引かれるが、こういった感覚は苦手らしい。 と、最近わかってきた。 子どもの頃から肉の脂身や、ホルモンが苦手だった。びとびとネチャネチャして、いつ飲み下したらいいかわからない。呑み込むときの喉越しも苦手だったんだなぁ、と気づいたのは最近。 ガムも、長く噛みたくなくてすぐ出してしまう。 冷えピタもすぐぬるくなるし気持ちが悪いと感じるときもあった。 料理をしていても、手に油が付いたときのネトネト感はスゴく厭だった。 汗かきの宿命で服が張り付くのももちろん子どもの頃からイヤではあったが、パニック発作のときにそれが気が狂いそうなほど気持ち悪くて息苦しかったのは、自分でもびっくりした。今まで散々経験してきたことがこんなに苦痛だとは思わなかった。 歯磨きのときにずっと口の中に溜めているのも苦手。だから、お風呂につかりながら磨くのが一番に長く磨ける。 一番、マズい、と感じるのが、喉。 風邪や扁桃炎になってしまった後に痰が絡むと、呼吸ができなくなりそうな不安感が、思考を押しのけ背負い投げをする勢いで押し寄せてくる。 薬を飲み下すにもなかなか飲み込めなかったり、焦って水でむせてしまったらしたら、もう文字通りパニックである。 端から見たら滑稽かも知れないが、大丈夫と知りつつも一瞬死ぬのではと思う。 水物は一度口の中に溜めてから飲みなさい、という母の注意を今更ながらに思い出し、納得。確かにその方が、むせづらい。 渇きも恐怖だが、むせるのもまた恐怖。 ベトつかず、さらりと受け流せるようになりたいものだ。 何事も。
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