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小さいときにこんなこと言って、
お母さんを困らせていたのも、
今となっては懐かしい思い出。
大人になった私は、また、こうして夜空を見上げている。
あの頃と変わらず、夜空の色は、
黒
黒
黒
でもね、今なら分かる。
夜空は黒い方がいい。
だってね……
夜空が黒いから、星がきれい見える。
星たちは、一番星みたいに明るい星ばかりじゃない。
よ~く見ないと見えないような、
かすかなかすかな星。
たくさんの明るく輝く星たちの中で、
小さくなって、
肩身が狭そうに、
ぽつんと、
何年も前から、ずっとずっと、
そこにいたのに、
気づかれなかった星。
夜空の色は黒だから、
あんなにかすかな光でも、
よくよく見てみたら、
ちゃんとそこにいる。
あの星って、
実は私なのかな。
黒い黒い夜空の中で、
そんな
私みたいな星を見つけた。
やっぱり、夜空の色は、黒がいい。
ここで輝いているよ。
と、黒い夜空が教えてくれた。
< 了 >
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