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紫陽花
初夏、匆匆
「耳をすませば」の雫ちゃんが、小説を書き終えて受験生に戻ります、みたいなこと言うシーン。憧れていた。今からそれをしようと思うのだ。
紫陽花がこんなに咲いていたっけ、雲がこんなに立体的だっけ。目の前にあった曇ったレンズが、一枚なくなったようだ。
修学旅行から帰ってきた週末、地区予選で敗退した。少し早めに引退した私は一学期期末試験に全振りできるわけでも無く、こうして小説など書いてしまっている。
私の中から部活をおいて、昨日弾いた音楽室のピアノの音色だけが鮮明に残っている気がする。
教室の軽やかな笑い声、私の閑かな絶望。腹が立つ塾講師どもに部活生の本気を見せつけてやろう、といった激しい闘志。それら全てをこころに。
さて、そろそろ受験生に戻ります。
ありがとう、ごめんなさい、さようなら。
半年前に死んだ母親、ケンカ別れした親友。思うところはたくさんあるけれど、とりあえずここに置いていきます。
これは私の初夏匆匆です。
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