8.突然の謝罪

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 ◇  時刻は夜十時を回っている。灯りの消えた部屋に差し込むのは、わずかな月明りのみ。  そんな薄暗い部屋のベッドの中で、エリスはアレクシスとのやり取りを思い出していた。 「……あれでは、まるで別人よ」  そう。まるで別人のようだった。  今日のアレクシスは、初夜のときとは違い自分をちゃんと見てくれていた。  あの日のようにキツく当たったり、冷たい視線を向けることもなかった。  それどころか、自分の気持ちを尊重する態度を見せたのだ。  伽をしないと言ったこともそうだが、食事の後に渡された第四皇女(マリアンヌ)からのお茶会の招待状も、「出席するかは君が決めたらいい。欠席しても不利益はないようにする」と言ってくれた。  とは言えエリスは、出席すると答えたけれど。 (ただ恐ろしいだけの人だと思っていたのに……)  本当は、優しいところもあるのかもしれない。  エリスはゆっくりと瞼を閉じる。  そうして、静かに眠りに落ちていった。
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