9.マリアンヌとのお茶会

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 そんなことを考えている間に、目的地に着いたようだ。  エリスは馬車から降り、侍従の案内で会場までの長い廊下を進んでいく。  水晶宮と呼ばれるだけあって、建物のほぼ全てがガラス製だ。  流石に床は大理石だが、それ以外の壁や天井、梁や柱に至るまで、ガラスで造られている様は圧巻である。 (綺麗。本当に水晶でできているみたい。帝国って凄いのね)  エリスがエメラルド宮を出るのはこれが初めてだ。  輿入れのときは精神的に追い詰められていたために、帝都の様子を見ている余裕はなかった。  だからエリスが街を見るのもこれが初めてなのだが、帝都の街並みは美しく立派で、エリスをどこまでも驚かせた。  お茶会の会場は巨大な温室のようになっていた。  ガラスでできたドーム状の広い建物の中には、青々とした沢山の観葉植物や、色とりどりの花が咲き乱れている。  いくつも並べられたテーブルでは、先に到着したであろう令嬢たちがお喋りに興じていた。  その和やかな雰囲気に、エリスはほっと胸を撫でおろす。  するとそんなエリスに、一人の女性が近づいて声をかけた。 「ようこそ、エリス様。来てくださって嬉しいですわ。わたくしがマリアンヌです。どうぞよろしく」 「――!」  金糸のように眩い髪に、泉のように碧い瞳。透き通るような白い肌。そして、たおやかな仕草。  噂に違わぬ美しいマリアンヌの姿に、エリスは思わず目を奪われた。  けれどすぐに我に返り、お辞儀(カーテシー)をする。 「お初にお目にかかります、エリスと申します。本日はお招きいただき大変嬉しく思います」  すると、マリアンヌはふふっと柔らかく微笑んで、エリスを席に案内してくれた。
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