9.マリアンヌとのお茶会

4/6
前へ
/137ページ
次へ
 ◇ 「先ほどはごめんなさいね。あの方、悪い方ではないのだけれど昔から少し困ったところがあって……」 「いえ、こちらこそご迷惑をおかけして、申し訳ありません」 「あら、あなたが謝ることは一つもないのよ。さあ、席はあちらに。エリス様は初めてのご参加だから、本日はわたくしと一緒のテーブルにいたしましょう」  そう言って案内されたのは、会場の一番奥のテーブルだった。  ドームの外の美しい庭園が、一番良く見渡せる席。  エリスが椅子に腰かけると、マリアンヌも反対側に腰かける。 「式のときは慌ただしくて全然お話できなかったから、こうして来てくれて本当に嬉しいわ」 「わたくしも、お目通りが叶いまして嬉しく思います、マリアンヌ皇女殿下」 「あら、皇女殿下なんて堅苦しい呼び方しなくていいのよ。わたくしのことは、マリアンヌと」 「……はい。では……マリアンヌ様」  躊躇いがちにそう呼ぶと、花の様に顔を綻ばせるマリアンヌ。  その笑顔に、エリスはさっきまでの緊張が嘘のようになくなるのを感じた。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

997人が本棚に入れています
本棚に追加