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地図を移動させると、数時間前に訪れた立花銀行の位置も確認できた。
やはりユーロトレーディングからはさほど距離は離れていない。そしてユーロトレーディングは貿易会社ということで、立地は比較的港に近いところにある。
ピンチイン・ピンチアウトを繰り返して位置関係を見ていると、あることに気がついた。
URLを自身のPCに転送して印刷をかけ、プリントアウトした用紙上の永井の自宅、ユーロトレーディング、立花銀行に印をつけて定規で結ぶと、ユーロトレーディングを頂点にしてちょうど二等辺三角形のような形になる。
行方不明の小此木が攫われたとするならば、火曜日の退勤後の可能性が高い。銀行のすぐ近くや大通りは人目につくので、狙われるなら人通りの少ない路地裏だろう。
銀行位置を支点にしてユーロトレーディングのある位置の幅にコンパスを開き、円を書き入れる。この範囲内にある路地は三本。そのうち大通りと接して丁字路になっているのは二本だ。
統計上、連れ込まれる時はスライドドアのバンタイプの車両が使われやすい。スムーズにことが運ぶのは、路地裏から出たところを塞ぐように停めて中に招き入れる方法である。
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