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「無断欠勤……ですか」
「えぇ。小此木和賀という者なのですが、お金を扱うという堅い仕事をしているということを差し引いても、彼女は無断で休むようなタイプではないんです。現在は入行してから四年目で、窓口業務を担当しているのですが、どの年代のお客様にも分け隔てなく朗らかに接しておりますし」
「欠勤されてるのはいつからですか?」
「今週の月曜と火曜は通常通り出勤して、そのあとずっと欠勤しています」
「今日が金曜日なので……、三日目ですね」
「えぇ。携帯は水曜の朝からかけてますがコールはすれど繋がらないし、住んでいるアパートにもいない。念の為実家へも連絡を取ってみましたが、帰ってきていないそうなんです。実は小此木から『自分に何かあったらこれを調べて欲しい』と預かっているものがありまして、もしかしたら、と伺った次第です」
羽倉は傍らに置いたビジネスバッグから一枚の紙を取り出した。四つ折りになっているものを開くと、朝霧の方へ向けて内容が示された。
あるもののリストである。朝霧は思わず瞠目しかけたが、悟られぬようにポーカーフェイスを通し、問いた。
「これは……どちらで?」
「月曜日にATMを利用されたお客様が落とされたメモのコピーです。小此木が機械のそばに落ちているのに気づいて、それでしばらくしてメモの落とし物がなかったかとお客様が来店されていて、メモ自体は小此木が渡してます」
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