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そこにあったもの
ル・ネロと言う画家の事を、安心と言う作品の事を調べてみた結果、出てこなかった。
存在しなかったかのように白いページが出でくるだけだった。
自分は確かに見た、安心という黒で塗りつぶされた全てを飲み込んでしまいそうな作品を。存在しないと言う事に恐怖を覚える半面、もう一度見たいと言う欲望が生まれた。
見たいと言う欲望は日に日に強くなり、存在しないなどと言う恐怖はいとも容易く呑み込んでしまっていた。そして考えに考え結論にたどり着いた、
「もう一度イタリアへ行き、安心をこの目でもう一度見よう」と
そうと決まったら体は思考よりも早く行動しており気づいたらイタリアに居た。美術館があった場所は鮮明に覚えている、はずだった。
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