オレ様が

1/1
前へ
/13ページ
次へ

オレ様が

「わかったよ。一週間後、オレ様がメイの顔に整形してやろう」 「一週間後……」  ついにウララの手術の予定が決まった。 「よろしくお願いします」  父親の高瀬も複雑な思いで頭を下げた。 「それで手術代なんですが、おいくらほど用意すれば?」  さらに父親は黒衣の医者に訊いた。 「ああァ、そうですね。別にただでも構わないけど」 「さすがに、そうはいきませんよ。相場の手術費くらい受け取ってください」  父親もただと言うのは気が引けるのだろう。 「ええェわかりました」  こうして一週間後、ウララの整形手術が行われた。  整形手術はつつがなく成功したみたいだ。  さらに十日が経ち包帯が取れる日が来た。  緊張の一瞬だ。   「先生……」 「大丈夫ですよ。手術は成功しました。なにしろオレは神の手を持つ天才外科医ですからねえェ」  彼は最大限の自画自賛だ。自慢げに微笑んだ。 「はァ」だがウララは不安と期待の入り混じった様子だ。  心なしか、全身がわなないていた。 「さァ包帯を解いてあげよう」  槇蔵人(マックロード)は手を伸ばし、真ん前に座るウララの包帯を解いていった。  パラパラと包帯が床へ落ちていった。  包帯が解かれた瞬間。 「あ!」  父親は驚きの声を上げた。 「まさか?」 「どうしたの。お父さん?」  ウララも心配そうな顔だ。   「いやァ、この顔は」  父親は目を丸くして驚いていた。  みるみる目に涙が溢れていく。 「どうかしたの。お父さん?」  いったいどういうことなのか。ウララも心配そうだ。 「さァ、ウララちゃん。どうぞ。ご覧ください」  看護助手のラブリが笑顔で患者のウララへ手鏡を渡した。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加