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天才外科医
「では、マックロード先生でも百パーセント治すと言うことは約束出来ないと言うことでしょうか?」
父親の高瀬もだんだん表情が険しくなった。
「ン、そうですねえェ。オレの言っているのは、外科医療と美容整形はまったく別物でして。外科医として天才だからといって美容整形でも天才的とは限らないんですよ」
「フフゥン、ウチの先生は自信がない時は、よく喋るんです。いらないことをベラベラと!」
横から見習い看護師のラブリが茶化した。
「ぬうゥ、お前なァ」
マックロードはラブリを横目で睨んだ。
「テヘペロ」
ラブリは舌をペロッと出して戯けてみせた。そんな姿も可愛らしい。
「でも大丈夫ですよ。なんて言ったって、ウチの先生は空前絶後の天才外科医ですからね!」
見習い看護師のラブリは自慢げに言った。
「おいおい、勝手に安請け合いするな」
「だって先生は三年前に死んだ人を墓から掘り起こして、チョイチョイってオペして蘇らせた伝説を持ってるじゃん」
ラブリは適当なことを吹聴した。
「えェ?」
「バカ言うな。どんな伝説だ。いくらオレだって死んだ人を蘇らせることなんか出来るワケあるか。それも三年前の死人なんて!」
「頼みます。マックロード先生。この子を助けてください」
高瀬は深々と頭を下げた。
隣りの娘のウララは、ずっとうつむいたままだ。
「さっきも言いましたが、美容整形は普通の医療とは違うんですよ。一種の芸術ですからね。美的センスが必要なんです」
マックロードは説明した。
「そうそう、マックロード先生が整形したら先生の大好きなアイドルみたいな顔にされちゃうわよ」
「えッ、アイドルですか?」
高瀬は、かすかに眉をひそめた。
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