【私のお母さんの一生】

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名古屋駅の地下街はたくさんのショッピングモールや飲食店がずらりと並び、(にぎ)わっていた。 玉子(たまこ)はその繁栄(はんえい)振りに、度肝を抜かれていた。 そうこうする内に、あるお洒落(しゃれ)な喫茶店が見えてきた。 「玉子(たまこ)さん。あの喫茶店がそうですよ」 山本はピタリと立ち止まり玉子(たまこ)にそう伝えた。 「……あの、山本さん。あんなお洒落(しゃれ)な喫茶店で私が働けるのでしょうか?」 玉子(たまこ)不安気(ふあんげ)な表情をしながらそう山本に訊いた。 「大丈夫ですよ。玉子(たまこ)さんは可愛いから、きっと看板娘になりますよ?」 山本は玉子(たまこ)の頭を撫でながら、目的地であるお洒落(しゃれ)な喫茶店に玉子(たまこ)を誘導した。 カランコロン。 喫茶店の木製の扉を山本が開けると、扉に取り付けてあったベルが音を立てた。 店内はたくさんの客に対してウェートレスが必死になって対応をしている。 「すみません。(わたくし)、山本と申しますが店長はどちらにいらっしゃいますか?」 山本は忙しそうなウェートレスを捕まえて、そう訊いた。 「店長?ああ……厨房(ちゅうぼう)にいるわよ!!」 と、そのウェートレスは(しか)めっ(つら)をしながらそう言うと、そそくさと客のオーダーを聞きに行ってしまった。 「厨房(ちゅうぼう)か。玉子(たまこ)さん。行きましょう」 「はい」 山本と玉子(たまこ)はカウンターの裏にある喫茶店ね厨房(ちゅうぼう)へと足を向けた。
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