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おばちゃんは言葉を失っていた。
注文をおじちゃんに伝えながら、私のことも話していた。
2人とも沈黙して、そして怒った。
「なんだ、あの自動車会社は。デカいだけデカくてろくなもんじゃない。葉月ちゃんをクビにするなんてとんでもない」
2人とも本気で怒ってくれたので、私はなんだかホッとした。
「とにかく食べな。腹が減っては戦はできぬ、だからさ」
おじちゃんはごはんを大盛りにしてくれた。
私はそれをもりもり食べながら、元気が出てくるのを感じた。
きっと何とかなる。
おばちゃんはお茶を取り替えてくれながら、
「知り合いにちょっと聞いてみるから、葉月ちゃん、ここに電話番号を書いておいて。何か見つかったら電話するから」
近所の信金のメモ用紙を置いた。
「おばちゃん、ありがとう。私も自分で仕事探すから、無理はしないでね」
涙を堪えながら電話番号のメモを差し出した。
「いざとなったら、ウチにおいで。狭いけど、葉月ちゃん1人くらい寝られるからさ」
おじちゃんは頼もしく引き受けてくれた。
「ありがとうおじちゃん。とにかくできるだけ頑張ってみる」
かろうじて笑顔を見せた。
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