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私について
私の郷里はここから電車で3時間のところにある。
山にも海にも近くない、小さくもないけど大きくもない街。
物心ついた頃から母と2人で暮らした。
近所に祖母が住んでいたけれど、私が中学生の時に他界した。
母は、地元の会社の経理担当として働きながら私を育ててくれた。
あまり見た目を気にしない、地味な母だったが、私が高校2年の夏、変化があった。
メガネをやめて,コンタクトレンズにした。
化粧品を全てブランド品に取り替えた。
髪をダークブラウンに染めた。
それまでの服をほとんど全て処分し、素敵な洋服を揃えた。
「お母さん、どうしたの?」
「気分転換よ」
母は帰りも遅くなった。
私は夕飯を1人で食べることが増えた。
思いたくないけど、思わざるを得ない。
母には好きな人ができたのだ。
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