佐谷(さたに)

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 翌朝、6時。開店前で準備していると、予告通りオーナーが出勤してきた。厳しい表情は昨日と全く一緒で不機嫌を顔面に貼り付けている。 「できたか」  緊張で心臓が飛び出しそうになった。オーナーは尋ねている。なぜなら、必要な材料はすべて持ち帰っていて、遅い時間で買うこともできなかったからだ。オーナーは僕に期待しておらず、今朝の早出は見本品を作るためだ。 「材料がなくてできませんでした」 「じゃあクビだ」 「でも」  僕は両方の拳を握ったまま、まっすぐオーナーを見つめた。 「代わりに新作を考えて作ってみました」  対峙したままの1分が永遠に感じるほど長い。唾を飲み込むことさえできなかった。オーナーは腕を組んだまま考えていたが、「いいだろう」と呟いた。 「出してみろ」 「はい! ありがとうございます!」  まずは第一関門突破。僕は冷蔵庫からケーキを取り出した。 「......お前、どういうつもりだ」  昨日オーナーが割った皿が再び登場して、「きっと機嫌を損ねる」と思うのが半分、「面白いと思ってもらえないだろうか」という思いが半分だった。  僕はあれから家に帰り、黒の皿を持ってきた。そこに乗せたのは、星空をイメージしたケーキ。  丸い型枠の底には、砕いたビスケットをバターで固めたもの。クリームチーズとブルーベリー、硬く泡立てた生クリームを和えて乗せた。  その上にはアラザンを溶かして、ブルーキュラソーシロップを入れ、アガーで固めた柔らかいゼリー上の層が乗っている。それが星空のように見える。  ケーキの横には糸飴(シュクレフィレ)を添え、黒いお皿の空いた部分にホワイトチョコレートをコルネで搾って、星に見立てて点を描いた。  
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