雨上がり、君想う。

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 *** 『こんにちは、レイラ。  君が暮らしている環境も、なかなか難しいところみたいだ。一体どの地区に住んでいるんだろうか?水害が酷くて孤立気味のエリアとなると、L地区やQ地区のあたりのような気がするけれど。  残念ながら、今の地球は竹が育つのに適さないようだ。  正確には、地下の人工太陽で竹を育てるのが難しいってことみたいだね。竹の根や枝がどこまでも伸びて言って、伸びすぎて、地下室を壊してしまうのが原因らしい。強すぎて逆に育てられないというのは不思議なものだ。  だから僕は、運よく手に入れることができたイチョウの枝を使わせてもらうことにした。  ここに短冊をひっかけて、お祈りしようと思う。……そうだね、雨がなるべく早く止むように。雨が上がれば、君も外に出られるようになるんだろう?  まあ、君のためだけの願いじゃないけれどね。僕もほら探検家をやっているからなるべく早く外にでて、新しい世界を知りたいんだ。でもこの状況じゃそれも叶わないからね。雨がやんで、晴れが見える日が一日でも増えれば、それだけで全然調べられることが増えるってのにさ。  僕の話といっても、最近はドローンでご近所の捜索がメインだし……あとはそう、僕の家族のことくらいしかネタはないかなあ。  僕の両親は植物学者で、僕にもできればその道を進んでもらいたかったみたい。植物を研究することはすなわち、限られた環境でも育てられる食べ物を研究するということでもあります。  まぎれもなく、世界で一番くらいに役に立ってる仕事なんだけど……どうしても僕は苦手で。  花はなんとなく可愛いなあとかきれいだなあって思うくらいで精々というか。  でも僕の仕事も、役に立ってないわけじゃない。  だって何百年も昔の文明を掘り起こすことで、今の技術に行かせることが沢山あるんだから。  僕はわくわくしながら冒険を繰り返し、そこの眠る“技術”という宝物を手に入れて帰っていくんだ。  同時に、いつかこの世界に雨が降り続けるようになってしまった謎を解き明かし、突きとめたい。  そうすればいつだって、君も外に出られるようになるだろう。それが他のしみだね。  そういえば、俺の兄さんと姉さんはそれぞれ結婚しているけど、なんだかんだ姉さんの方は今の家で暮らし続けているよ。姉さんの旦那さん、僕にとっての義兄さんは完全に姉さんの尻に敷かれているみたいだ。  いつの時代も、奥さんの方が強いって本当なんだろうねえ』
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