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『レイラ。
貴女が誰なのか、僕はずっと考えていたんだ。
外に一切出ずに、食べ物の備蓄もとうに尽きているはずなおに、瓦礫に埋もれた家で十年以上生活する。普通の人間には、とてもそんなことはできるはずがない。
そして、まるで貴女は、瓦礫に潰れずとも家に水が入ってきた時点で終わりであるかのような物言いをする。
雨に濡れたら、それだけで終わり。つまり貴女は――貴女の正体は、防水加工がされていない、旧式のアンドロイドなのではないかな?
旦那様を幼少期の頃からお世話していたとある。お世話ロボットにはまだまだ旧式のものも多く流通しており、古い型のものならば家の中だけの仕事ということで防水・撥水加工がされていないものも少なくなかったはずだ。
雨に濡れたらショートして、貴女は壊れてしまう。
だから溺死はしなくても、雨に濡れたり、水底に沈んでしまったならおしまいということなのでしょう。
家の中の補強を、出来る限り頑張ってみないかい。
そして、貴女が今どこに住んでいるのか、その位置情報を分かる限りで送ってくれないかな。
僕は、心を持ったロボットにいまだ出会ったことがありません。孤独に怯え、人間の主人を愛し、生と死を慈しむ貴女と僕は直に話がしてみたい。
雨が上がったら、貴方に会いに行きます。
僕と一緒に、雨上がりの虹を見ませんか』
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