おまんじゅうパニック!!!

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「オヤツよ」 階下から、母さんが呼ぶ。 共働きが珍しくない時代ではあるけど。 俺の母さんは、専業主婦として家事を熟している。 家族の在り方は様々ある。 考えかたも色々ある。 俺は、母さんがいてくれるこの家に安心感を与えてもらっているんだ。 反抗期? そりゃ、ちょっとはあったかもしれない。 例えば、宿題のこと言われてうるせぇなぁとか。 けど、家の掃除とか食事つくりとか、買い物とか。 一日中家で働いてくれてるんだよ? 反抗する理由がないだろう。 「……お母さん」 「なぁに?リョウくん」 「お兄ちゃんだけ、何でおせんべいなの?」 饅頭を頬張りながら、小さな弟が聞く。 「だって、お兄ちゃん……お饅頭が食べられないんだもの」 そう、俺は饅頭が食べられない。 餡子が嫌いというわけじゃない。 餅が元々苦手なのだ。 小さな頃から、餅を詰まらせる老人のニュースが年末年始に流れている。 それを聞いているうち、怖くなってしまった。 だから、俺の前には饅頭が置かれない。 「そうかあ、おいしいのに……」 「リョウも、気をつけて食べろよ」 家族が美味しいと食べているのを見ると、微笑ましくはなる。 ただ、やっぱり食べたいという気持ちにはなれない。
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