おまんじゅうパニック!!!

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朝ごはんが、饅頭になっている。 「か、母さん……」 「どうしたの?ヨウ」 「あ、あのさ……朝から饅頭って何?俺、食えないんだけど……」 「なぁに?まだ寝ぼけているの?」 嘘だろ、これはまだ夢なのか? 俺がおかしいのか? 「早く食べないと遅刻するわよ」 母さんが、俺に意地悪するなんてことはない。 だが、顔を抓ってみても痛いだけ。 夢ではない。 「仕方ねぇか……」 なんと言っても、腹は減っている。 恐る恐る、食べてみる。 「え、」 上手い。 餡子が口の中で溶けていく。 噛み締めた、求肥のもっちり感。 甘くて、優しい味。 「母さん、美味いな。これ」 「そう?いつもと同じだけど……」 言って、コーヒーを出してくれる。 「母さん、ごめん。俺、なんか緑茶が飲みたい」 「そう?じゃあ、煎れるわね」 母さんが煎れてくれたお茶と一緒に、俺は饅頭を食べてみる。 「美味い!」 なんだ、これは。 相性抜群だ。 「そんなに……?」 「うん」 和菓子にはお茶が合うって本当なんだな。 煎餅はコーヒーと食っても美味いから気づかなかった。 この組み合わせを考えた人は天才だ! 「お兄ちゃん、おはよう。おいしいの?」 「ああ、美味しいよ」 「そっか、良かったね!お兄ちゃん嬉しそう」 嬉しそう……か。 確かに、俺は食わず嫌いをしていた。 それを食べられること。 それが、嬉しいと思う。 「ごちそうさま!行ってきます!」 食べ終えて、俺は学校に向かう。 「いってらっしゃい」 「気をつけてね」 二人の声を背に、俺は家を出た。
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