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プロポーズ
3人になったリビング。
ソファに腰を下ろして、自分の膝の上に咲良を乗せる健人。
梨花は、その向かい側の少し離れたソファに座った。
健人がチラッと梨花の方を見てから、咲良の顔を見た。
「咲良。これからね、僕が咲良と出会った時の事、話していいかな?」
そう言う健人に、咲良が頷いた。
「咲良はね、お腹にいる時から可愛くて、可愛くて、僕は、咲良になんでもしてあげたかったんだよ」
そう言って、健人は微笑んだ。
「咲良がね、生まれた時ね、僕はママに恋をしたんだよ。咲良を全力で産んでくれて、咲良に出会えてすごく嬉しそうなママが、すごくすごく綺麗で愛おしくて、心から大好きになったんだ」
続けてそう話す健人に驚きながらも、梨花は、嬉しくて涙が溢れた。
「だからね、咲良が生まれた時から、ずっとずっと、僕は咲良のパパになりたいって思ってたんだよ」
そう言葉にすると、咲良は嬉しそうに、
「私も、健ちゃんにパパになって欲しい〜」
と言って抱きついた。
咲良を抱きしめながら、正面に座る梨花を見る健人。
涙を拭きながら下を向いたままの梨花に、
「ねぇ、梨花、僕と結婚してくれる?」
と、健人は問い掛けた。
梨花は、嬉しくて、胸が一杯になり、頷くことしかできなかった。
そんな梨花を、健人は嬉しそうに見つめていた。
それからの日曜日…、
ライブ動画を観ながら、お揃いの黄色のペンライトを振り踊り騒ぐ健人と咲良の声と、時々、「もう少し静かにして!」と二人を叱る梨花の声が、松田家から響いていた。
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