第1章 年の離れた先生

3/15
前へ
/116ページ
次へ
<出頭> 「はい、始めます」 「姿勢を正して、礼」 朝のショートホームルーム。 教壇に立っている河原先生はいつも通りだった。 「今日は前に配布したアンケートの回収日だ。もし忘れた奴がいたら職員室に来て自首すること。連絡はこのくらいだ」 そして河原先生は、黒い出席簿とスケジュール帳をパタンと閉じて一言。 「あと、平澤。お前は問答無用で、放課後職員室に出頭な。忘れんなよ」 そう言い残して、教室から出て行った。 「……え?」 フリーズしたまま固まっていると、ニヤニヤした愛理と圭司が近付いて来る…。 「菜都、出頭……!」 「出頭って、警察署などに行くときに使う言葉だよな。職員室に出頭は違うと思う」 「出頭とか自首とか。きっとそんな言葉を使いたいお年頃なのよ!」 「いや、言うてオッサンじゃん」 私の横でそんな会話をする2人。 ……出頭って、何だろう。 昨日のこと? ……しかないよね。 当の私は、無性にドキドキしていた。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加