第1章 年の離れた先生

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「……失礼します、2年の平澤です。河原先生…… 」 「今行く」 放課後、言われた通りに出頭した私。 河原先生は手招きをしながら、同じ階にある相談室に向かった。 「……さて、そこ座りな」 狭い相談室に置かれた、2セットの生徒机。 そこに座るよう促された。 言われた通り大人しく座ると、先生も向かいに座って小さく口を開く。 「平澤、昨日の話だけどさ」 「……」 「突然だったから。咄嗟に思いっきり突き放したけれど…取り敢えず、好意を抱いてくれていたことに感謝だけはしておこうと思って」 「……」 感謝って。 ……振られたのに、感謝なんてされてもねぇ。 「……」 なんて答えれば良いか…分からない。 無言のまま黙り込んでいると、先生は少し困ったように頬を掻く。 「まぁ…その。好意は受け取れないけどさ。俺、教師であり…オッサンだし。でも嬉しかったっていう感情も少しあったからさ、感謝だけ伝えさせて貰おうと思って。それだけ」 ……諦めの悪い私。 その言葉に、僅かな希望を感じた。 「……まだ、可能性があるってことですよね」 「え?」 「私。昨日振られたからって、別に先生のことを諦めたわけではないですよ」 「……」 「先生が好き。それは今も変わりません。……先生が嬉しかったと少しでも感じてくれたなら、尚更私は……河原先生のこと、諦めません」 「いや、平澤……あのな……」 何か言いたげな先生だったが、これ以上の言葉は無用。 「では、失礼します」 先生が言いかけた言葉を遮って、私は相談室を後にした。
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