黒魔術師がマイクロプラスチックの黒い怪物を倒す

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 亜香里たちが上空からみると、戸成野ビーチの砂場は黒く覆われて、発達した仮足が蛸の足のように街路樹に巻き付く。  海岸道路に上陸している、ひときわ盛り上がる場所。大型バスを思わせるけれど、海中アメーバの黒色に、捕獲したてのペットボトルが、水晶のように目立つ。 「強さの象徴として、マイクロプラスチックを取り込んだアミーバが集合したのだ」 「そのプラスチックを破壊すればいいのね」  海岸道路に絨毯を着地させる。うごめく仮足は意思があるように、駐車した車に絡み、放り出すように伸びる。 「プラスチックを探しているんだ。脳は、獲物を求める昆虫ぐらいに発達してる」 「欲張りね。許さない」  食べるのでもなくて、強さの象徴で身に着ける。それを求めてここまで来たのだろう。 「髪を切ったあいつらも、マウントを取りたい延長だったはず。越えちゃあならない線があるんだよ」  恨みのエネルギーが腕に伝わり熱を帯びる。右手を上げ、回して呪文を唱えた。 「マジックアタック・リ・サイクル」  右の指先を伸ばして黒い怪物へ向けた。  熱い空気が渦巻き、突風となり怪物へ、ぶち当たった。  ぷちぷちぷち。何かが破裂するけれど、動じない黒い怪物。やはり、この前の化け猫とはサイズが違う。 「分裂した。やはりアメーバ」 「一匹ずつ。もっと能力アップしなけりゃ」  亜香里はそういうと両手を伸ばして怪物へ向ける 「マジックアタックストロング・リ・サイクル」  熱い空気が渦巻き、突風となり怪物へ、ぶち当たった。今度は効果があった。  いくつかの塊となり飛び散るけれど、うねうねと動き回る。 「あとは任せろ」  竜太は絨毯のポケットから魔法の杖を取り出す。素人でも簡単な扱いはできるのだ。  竜太が絨毯から降りる。 「大きい方をやっつけるから」  亜香里は逃げた怪物を追う。怪物はビルの並ぶ商店街へ仮足を伸ばしていた。 「ここで分裂したら、もっと厄介だね」  だけれど、躊躇していられない。選別するように人間を巻き取り放り投げる仮足。 「マジックアタックストロング・トルネード」  渦巻く風。怪物がの仮足が風に引かれるように揺れて舞い上がる。 「マジックアタックストロング・サイクロン」  亜香里は両腕を上へ伸ばして、思い切りビーチの方へ向けた。渦巻く風が、ビーチの方へ移動する。  怪物が悶えながら空中を飛ぶ。 「市街地は助かった。だけれど、退治できるのかなー」  捕獲しないと被害は増えるだろう。まずは竜太の状況を確かめに行く。  竜太は杖を振りかざしては分裂した小振りの怪物へ挑んでいた。 「マクハリバルーン!」  泡の膜に包まれる怪物。みると地域の人たちがビニール袋に怪物たちを詰め込んでいる。 「このサイズだと、ただのゴミだ」  竜太がいうと、それより、と促す。ビーチへ飛んでいった怪物を退治するときは来た。  海岸線へ再び上陸した怪物。亜香里は魔法の杖を受け取り振り回す。 「マジックアタック・ソード・スライサー」  杖が諸刃の剣に変わる。ストロング技を使った後は、リ・サイクルの魔法に威力もなくなる。だから、直接切り分けるしかない。  絡む仮足から切り落として、バラバラに切り分ける。 「お任せ」  竜太が住人たちと一緒にビニール袋へ詰め込んでいく。 「完了。あとは地球防災対策隊に任せよう」  だけれど、いつも味気無さを感じる。満足感とは程遠い虚無感があるのだ。 
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