黒魔術師がマイクロプラスチックの黒い怪物を倒す

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 亜香里はネット検索をしていた。 「やっぱり。これはやりすぎたよねー」  いつにもまして、魔女が暴れた、と中傷するSNSの記事。車の追突事故と火災。何人か犠牲者もいる。人に被害が出るのは初めてだ。 「竜太の依頼は断ろうか。細々と占いをすればいいし」  亜香里が独り言で悩んでいるところへ、竜太が現れた。 「また考え事か。ネット検索のやり方を間違ってないか」 「そういうけど。今度は犠牲者も出てるし」 「あれほどの怪物だからな」 「当然みたいに言うな!」  人命を軽く扱うのに怒る亜香里。竜太にも、そのつもりはないらしい。短略的にしゃべる男性だ。 「合同葬儀に行こう。そうすれば分かるさ。ネットで悪い情報ばかり集めるから、ゆううつにもなるのだろ」 「じっさいに、言ってる人は多いし」 「なんでも文句を言いたい人が発信してる。あとの人は面白がり真似る。ちゃんとしたニュースを見たらいい」 「そうだけどねー。なにか違う。少なくとも私を加害者と思っている人がいる」 「完璧な人はいないさ。合同葬儀の幹事役の方も会いたがっていた」 「そりゃねー。お悔みもいいたいし」 「決まりだ。どうだい。白魔術を使おうぜ」 「勝手に決めるな! ま、考えておきましょ」  白魔術をするには、思念が足りないと感じてもいる。恨みなどは増幅できるけれど、愛とか良い思念は抽象的過ぎて、魔力のパワーが湧かないのだ。合同葬儀は行くべきだと決めてはいた。 
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