黒魔術師がマイクロプラスチックの黒い怪物を倒す

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「白魔術・クリスタル構成」  亜香里は呪文を唱える準備をする。 「もしかして、水晶か? 結晶じゃなくて」  邪魔をする竜太。アドバイスなのかもしれない。 「あれっ、そうだったの。ま、似たようなモノよ」  城魔術のやり方は飛ばし読みをしているから、どうなるかは知らない亜香里。わるくはならないと、思う。 「マジックアタック・ストロング・クリスタル」  魔法の杖を振り回す。  青白い閃光が灰色の怪物を覆う。  輝く青さが薄れて透明になり光る。眩しくて目を細める亜香里。  海上が透明な物質に変わるけれど、茶褐色が透けて見える。 「スモーキークオーツ。煙水晶か。なぜ?」  竜太は尋ねる。SFなら理論展開するところだろうけれど、亜香里には答えが分かる。 「プログラミングが分からなくてもアプリを使っているでしょ。それが魔法なの」 「現実を信じるしかないかな」  煙水晶の大地が水平線まで広がり、太陽の光を受けてきらめく。これで、プラスチック不法投棄問題は解決した。 「なんだか満足した。恨みを増幅すれば虚しさが残るけど。愛を増幅すれば、もっと大きく深くなっていく」  亜香里は竜太のサポートにも気づいていた。佐藤へ会うように、取り計らってもいたような、会話の展開だった。 (竜太への思いがパワーになったのよ。うん、あ、い、かな)  お互いに頼れるパートナーになれる予感がする。 「プリンを食べにいこうか」 「着替えてからだな。夕食にレストランを予約するから」 「そのあと。うん、プリンね」  亜香里は期待もする、甘いそのあと。しばらくは、恋愛の予感に、まどろむ。 
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