死神の役割

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祖父の紺次郎は背が高く 品がある紳士的な人で 黒いハットにスーツと革靴がよく似合った。 死神と言われれば・・死神だ。 今は寝たきりだが 年老いて横たわっていても尚 上品な雰囲気が損なわれる事はない。 紺次郎の穏やかに微笑む姿が 瞼の裏に浮かび上がる。 蒼の複雑な表情を眺めながら死神が話し出した。 「紺次郎は『見送り』の第一人者だ」 「見送り?」 「そう、、  人が死ぬ時の苦しみを変わってやる役割を担う。  『見送り』に見送られた人は穏やかに死を迎えられる・・  ただ、『見送り』の方はその能力で苦しみをもらう事になるがな。」 蒼がごくりと生唾を飲み込んだ。 「紺次郎は『人の最後に苦しみは似合わないだろ』と言っていたが  その苦しみたるや・・」 そう言って、言葉にするのも恐ろしいという素振りを見せた。 「僕には・・その『見送り』の能力があるん・・ですか?」 死神はこくりとうなづいた。 「紫緒は受け入れたくなかったみたいだがな・・」 それでも来る時は来る・・それが今なんだろう。 「紺次郎を連れて行く時間だ。  蒼は拒否することもできる。  拒否したら他の役割に転属するだけだからな」 「なんで僕・・なんですか?」 「さあな」 「じいちゃんは、苦しむ・・んですか?」 「だろうな」 「苦しまない事も・・あるん・・ですか?_」 「いや、それはない」
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