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だれもがうらやむような、かわいい僕。日々、磨く努力もしているけれど、ほとんど生まれついたものだった。
白く透き通った綺麗な肌。
艶のある黒髪。
大きな瞳と、整ったまつ毛。
血色の良い頬に、高い鼻。
唇は細く形が良い。
――どれも元モデルの両親から受け継いだ僕のとりえ。
もちろん、化粧や日々のケアで良さを引き立てているけれど、たとえ化粧をやめてケアを怠ったとしても、そうひどくなることはないだろう。
じゃあなんでケアをするのか? 化粧をして、日焼け対策やビタミン補給を欠かさないのか? それは僕が僕であるという証明を他にできないからだった。
幼稚園に入ったときから、僕は誰よりもかわいいと知った。
女の子よりも男の子よりも、かわいい。
かわいいのだから、僕はよりかわいらしくあろうと考えた。
かわいいと言うだけで僕はちやほやされた。
小学生になって運動ができなくても、「アイちゃん、かわいいから運動なんてできなくても良いんだよ」とクラスメートの女子に言われた。傷つくことなんてなかった。ただ「そうだよね」と僕はうなずいた。
中学生になって勉強も追いつけなくなってきた。けど「アイちゃん、面接上手だし、テストの点数が悪くても先生からの評価が良いから大丈夫」と姉に言われた通り、成績が悪くても普通レベルの高校に入学ができた。
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