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「……その、大丈夫かい? セリア」
「うん、ありがとサーシャ。でも、ごめんねサーシャ、ドローテさん。うちの母が、迷惑掛けちゃって」
それから、およそ一時間後。
たなびく雲が朱色を帯びる帰り道にて、申し訳なくそう伝えると、気にしないでと穏やかに微笑む二人。……まあ、そう言ってくれるのは分かってたけど。
ただ、申し訳ないのは本当で。あれからもずっと喚き散らした挙げ句、あろうことか近くにあった花瓶を投げつけ、それがサーシャのすぐ傍を横切って。当たってないから大丈夫――いつもの優しい微笑でそう言ってくれたけど……ほんとに、大丈夫かな? ほんとは、怪我してないかな?
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