お母さん

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 そう、何とも悍ましい笑みで口にする優美な女性。普段とは似ても似つかない、あの優しいドローテさんとは思えない、悍ましい笑みで。 「……セリ、ア。逃げ、て……」 「――っ!! サーシャ!! ……って、えっ……?」  すると、不意に届いた微かな声に振り向き大声を上げる。そこには――部屋の隅には、見るも強固な鎖で両手足を縛られたサーシャの姿が。もちろん、それも重大なこと。決して看過できないこと。だけど……今、とりわけ私の目を引いたのは―― 「…………なん、で……」  そう、呆然と呟く。何故なら……本来、そこにいるはずもない、ぐったりした青白い顔の女性――私の母の姿があったのだから。
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