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「――いやー、思ったより楽だったわ。まあ、あの調子だし病室側も手を焼いてたんだろうね。大切な家族のお母さまなので、是非家で面倒を見させてくださいって頼んだら、すんなり引き渡してくれたわハハハッ」
すると、私の呟きに答えるように呵々とそんなことを告げるドローテさん。いや、答えたというかはただ言いたかっただけかな。
ともあれ……再度、母へと視線を移す。どうやら意識はないようで、サーシャみたく拘束されてるわけじゃない。拘束する際に目が覚め喚き散らされでもしたら、その方が面倒と考えたのかも。万が一、今の状態――拘束なしの状態で目が覚め暴れられても、今の弱りきった母なら押さえつけるのも容易いだろうし。……ただ、そんなことより――
「……どうして、そんなことを……」
そう、か細い声で尋ねる。すると、待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべるドローテさん、そして――
「――はぁ、なんで? そんなの、恨みがあるからに決まってるでしょ? あんなにも優しい私の両親を理不尽に殺した、あんたの父親にねえ」
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