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「…………」
そう、不敵な笑みで告げる。そんな彼女に何も言わず、口を真一文字に結ぶ私。すると、ややあって彼女は再び口を開いて――
「さあ、選びなよ? あんたがどっちか言えば、どっちかは助けてあげる。さもなくば――」
「……その、だったらわた――」
「あ、私を殺しては無しだから。もし、どちらも選ばなければ――言うまでもなく、両方殺す。あの男が――あんたの父親が、私にしたようにね」
「…………」
私の言葉が終えぬ間に、先んじてそう言い放つドローテさん。どこまでも、私自身が苦しむことをお望みのようで。だったら……だったら、私の選択は――
「……分かりました、ドローテさん。でしたら――」
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