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『――ははっ、そっか! 好きな男のために、自分の親を犠牲にするんだ! ははっ、やっぱあんたとは分かり合えそうにないね!』
三日前の、あの部屋での一件。
私の告げた選択に、高笑いを交えそう言い放つドローテさん。……分かり合えない、か。まあ、そりゃそうかもね。被害者と加害者の立場じゃ、どうあっても不可能だったのかもね。
……さて、もはや説明不要かとも思うけど――私は、サーシャを選んだ。そして、それは実の母を犠牲にすることに他ならない。そんな悪魔のような二択を突きつけられ、私は確かにサーシャを選択した。分かり合えない――そう言ってはいたものの、いずれにせよ並々ならぬ苦痛を与えられてさぞかしご満悦のことだろう。
でも……結局、最後の最後まで分かってなかったみたいだね。悪魔のような二択を突き付けた相手――即ち私自身が、紛うことなき悪魔だということを。
「……ありがとね、ドローテさん――あの女を殺してくれて」
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