救いの手

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 さて、彼の話によると……どうやら、独り道端で倒れていた私を此処――彼の自宅まで運び寝かせてくれたようで。きっと、良い人なのだろう。だけど―― 「……ひょっとして、ですが……私のこと、知らなかったりします?」  そう、おずおずと尋ねてみる。ここが何処かは定かでないが……それでも、この村の住人なら私のことを知らないはずは―― 「――うん、知ってるよ。セリアさん、だよね?」 「……はい」  すると、なおも柔らかな微笑のままそう問い掛ける美男子。いや、問うと言うより確認かな。まあ、それはともあれ……知ってるなら、どうして―― 「――だからこそ、かな。犯罪者の子ども――そんな理由だけで理不尽な仕打ちを受けている君だからこそ、手を差し伸べなきゃならないと思ったんだ」
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