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あれから、サーシャと私はあの村を離れ少し遠くのこの街へと移転した。予てから、この街に住むつもりだったから――そう、彼は話していた。
ひょっとすると、それは一定の事実を含んでいたのかもしれない。それでも……まあ、流石に察せないはずもなかった。それが、もはやあの村に居場所などなかった私のための選択だったということは。
それからも、サーシャはずっと優しかった。あれからも、辛い時、苦しい時はあったけど……それでも、あれから死にたいと思うことはただの一度もなかった。だって……私の傍にはいつも彼がいてくれて、暖かく寄り添い支えてくれたから。……だから、
「……セリア?」
ふと、不思議そうに呟くサーシャ。不意に、私が彼の腕を引き寄せ絡ませたから。……うん、分かってるよ。きっと、届かないってことくらい。それでも――
――それから、ほどなくだった。卒然、あの人が現れたのは。
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