お日さま

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お日さま

 ボクは東側に向けられたダンボールのお家の中から寝そべったままで、お日さまを見ていた。お日さまは 「良かったね。新しいお家が見付かって」って言ってくれた。 「お日さま、ありがとう。ボクのことずっと見ててくれたんだね」  ボクがそう言ったら、お日さまは嬉しそうに笑ってくれた。  玄関のドアが開いてケイ君が出て来てくれた。手には美味しそうなボクのご飯を持って。  ボクは「ケイ君、ありがとう」って言ってボクの前に置いてくれた美味しいご飯を残さず食べた。  ケイ君は「偉かったな」とボクを褒めて頭を撫でてくれた。  あったかいお家と美味しいご飯。ボクは、ここに居て良いんだとそう思ったら嬉しくてケイ君にいっぱい「ありがとう」って言った。  それからケイ君は荷物をたくさん持ってどこかに出かけて行った。 「良い子で留守番してろよ」って言って。  ボクはケイ君のお家の庭を少しずつお散歩した。  木陰の涼しい場所も、陽の当たるあったかい場所もボクには、とても居心地が良かった。  何日か経ってボクは、すっかりケイ君のお家にも慣れた。  朝はケイ君や、お兄さんや、お父さんが出かけるのをお見送りする。  夜になって誰かが帰って来るとボクは、お出迎えに行く。  お昼のお留守番の時間には少し遠くまでお散歩するようになった。  ケイ君が話してくれた猫が苦手なお母さんは、この時間に買い物に行く。  ボクも犬は苦手だから、お母さんの気持ちは分かるんだ。  そんなある日、ボクはケイ君のお家の後ろの方へお散歩してみた。  そしたらボクよりもふっくらとした鳩がニ羽、楽しそうに遊んでいた。  初めはボクも遊んでくれないかなと思っていた。  でも……。ボクは、やっぱり猫なんだ。ボクも自分でもよく分からないうちに、その一羽の鳩の首に噛み付いて遠くへ逃げ出した。  ボクの狩りをする姿をお母さんが見ていてボクと目が合った。  ボクは悪いことをしたのかな?  ケイ君が帰って来てボクにこう言った。 「鳩を食べちゃったのか? 母さん気分が悪くなって寝込んでたぞ」  お母さんは鳩も苦手なのかなとボクは思った。  でも、その後ボクはよく分からないけど、お腹が少し変だった。  次の日、ケイ君はボクのお尻から悪い虫が出ているのを見つけてケイ君のお家の犬が診てもらっている獣医さんに連れて行かれた。  ケイ君が見た虫は、とっても悪い虫でボクがたくさんご飯を食べてもボクのお腹の中で栄養を全部取ってしまうんだって。  だから、とっても強いお薬を飲まないと悪い虫は出て行ってくれない。  獣医さんはそう言ってボクに薬を飲ませてくれた。
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