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「……エリーもなのね」
いた。
他の子供たちはさっぱりわからないという顔をしていたが、ルナだけは青い顔でエリーの言葉にうなずいてくれたのだ。
「みんな。エリーが言ってること、間違ってないわ。あたしも確信を得たのはつい今朝のことだけど」
「く、繰り返してるって」
「そんなの何のために?誰が?」
「嘘でしょ……」
「嘘みたいな話だけど、本当なのよ。お願い、信じて」
「でも……」
クラスメートたちは完全否定はしない。それでも信じられないようで、お互いに顔を見合わせている。自覚もないまま、同じ時間でずっと遊ぶ踏みをさせられているのだ――なんと恐ろしいことか。
信じて貰うのはあまりにも難しいことなのかもしれない。どうすればいいだろう、とエリーが悩んでいると。
「天気を操作するのも、時間をループさせるのも、私達人間の魔法使いではとてもできないことよ。大人にだってできないわ」
ルナが真剣なまなざしで言った。
「でも、女神・クリスティーナにはできる。きっとこれは、女神様の仕業よ。女神様とお話する魔法なら、人間にもできる。私達はまだ子供だから魔力が少ないけれど、みんなで力を合わせればなんとかなるはずよ。お願い、協力して」
「ルナ……」
彼女が信じてくれて、本当に良かった。エリーは泣きそうになってしまう。エリー一人が騒いでも説得力はなかったかもしれないが、クラス委員で人望の厚い彼女が言うならば話は違うはずだ。
みんな半信半疑といった顔だったが、最終的には協力してくれた。先生が来る前、朝の時間だけでなんとか終わらせなければ。教室の机を端にどけて、エリーたちは模造紙を繋ぎ合わせて大きな白い紙を作ると、その上に神様とコンタクトを取るための魔法陣を描いたのである。幸い、方法は魔法の教科書に載っていた。
魔法陣を書き終えると、カーテンを閉めて、周囲に蝋燭を立てて魔法で火をつける。そして、全員で手を合わせて呪文を唱え、魔法陣に魔力を流し込むことができれば――。
『わたくしを呼ぶのは、どなたですか』
長い銀髪、金色の瞳に、真っ白な羽根、真っ白なドレス。
そして青い宝石がついた金色の杖を持った美しい女の人が、魔法陣の上に姿を現したのだった。
本体ではないので、体が透けている。それでも、威圧感は半端ない。本物の女神様だと、エリーは察したのだった。
「お願いがあります、女神様。……この世界の時間を、先に進めてください。私達は、七月十一日より先に行きたいのです」
『……』
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