見えない明日が来るならば

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 *** 「……エリーもなのね」  いた。  他の子供たちはさっぱりわからないという顔をしていたが、ルナだけは青い顔でエリーの言葉にうなずいてくれたのだ。 「みんな。エリーが言ってること、間違ってないわ。あたしも確信を得たのはつい今朝のことだけど」 「く、繰り返してるって」 「そんなの何のために?誰が?」 「嘘でしょ……」 「嘘みたいな話だけど、本当なのよ。お願い、信じて」 「でも……」  クラスメートたちは完全否定はしない。それでも信じられないようで、お互いに顔を見合わせている。自覚もないまま、同じ時間でずっと遊ぶ踏みをさせられているのだ――なんと恐ろしいことか。  信じて貰うのはあまりにも難しいことなのかもしれない。どうすればいいだろう、とエリーが悩んでいると。 「天気を操作するのも、時間をループさせるのも、私達人間の魔法使いではとてもできないことよ。大人にだってできないわ」  ルナが真剣なまなざしで言った。 「でも、女神・クリスティーナにはできる。きっとこれは、女神様の仕業よ。女神様とお話する魔法なら、人間にもできる。私達はまだ子供だから魔力が少ないけれど、みんなで力を合わせればなんとかなるはずよ。お願い、協力して」 「ルナ……」  彼女が信じてくれて、本当に良かった。エリーは泣きそうになってしまう。エリー一人が騒いでも説得力はなかったかもしれないが、クラス委員で人望の厚い彼女が言うならば話は違うはずだ。  みんな半信半疑といった顔だったが、最終的には協力してくれた。先生が来る前、朝の時間だけでなんとか終わらせなければ。教室の机を端にどけて、エリーたちは模造紙を繋ぎ合わせて大きな白い紙を作ると、その上に神様とコンタクトを取るための魔法陣を描いたのである。幸い、方法は魔法の教科書に載っていた。  魔法陣を書き終えると、カーテンを閉めて、周囲に蝋燭を立てて魔法で火をつける。そして、全員で手を合わせて呪文を唱え、魔法陣に魔力を流し込むことができれば――。 『わたくしを呼ぶのは、どなたですか』  長い銀髪、金色の瞳に、真っ白な羽根、真っ白なドレス。  そして青い宝石がついた金色の杖を持った美しい女の人が、魔法陣の上に姿を現したのだった。  本体ではないので、体が透けている。それでも、威圧感は半端ない。本物の女神様だと、エリーは察したのだった。 「お願いがあります、女神様。……この世界の時間を、先に進めてください。私達は、七月十一日より先に行きたいのです」 『……』
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加