第一話 数学補習同好会の変革

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第一話 数学補習同好会の変革

<新学期> 「真帆、2組だ! また同じクラスだよ!」 「本当! 良かったぁ!!」 4月になり、新学期が始まった。 私、藤原(ふじわら)真帆(まほ)と親友の的場有紗(まとばありさ)はここ『県立桜川高等学校』の2年生になった。 「俺も2組か。同じだな」 「……げ!! 神崎!! 最悪! 真帆、逃げるよ」 「的場さん! 何だよ、その反応! 藤原さん、逃げないで!!」 同級生の神崎大輔(かんざきだいすけ)くん。 1年生の時に数学の補習で一緒になってから付きまとわれている。好きだと何度か告白されたが断り続けており、今に至る。 私は有紗に手を引かれて昇降口まで走った。 桜の花びらが空に舞っていて綺麗。春って感じ。 新鮮な気持ちを胸に、新しい2年生の教室へと向かった。 朝のホームルームの後、体育館へ移動する。 始業式。 担任の発表が一番の楽しみだ。 「担任誰だろうね。ちょっとワクワクする!」 「分かんないけど、また飛谷先生じゃない?」 「大抵持ち上がりなのかなー? それだと面白く無いよね」 1年の時担任だった飛谷先生。 可もなく不可も無いが、また同じだと新鮮味が無い。 「ねぇねぇ、真帆! …早川先生だったらどうする…?!」 耳元でそう囁く有紗。 「…そうねぇ。どうしようか」 早川裕哉(はやかわゆうや)先生。数学教師で私が所属する数学補習同好会の正顧問。 そして…秘密のお付き合いをしている、私の彼氏。 体育館に入ると、左側の壁のところに立っていた。 七三分けに銀縁眼鏡。いつもは白衣を着ているのだが、今日は黒色の背広を着ている。 春休みの間、たまにメッセージでやり取りをしていたが、こうやって姿を見るのは久しぶり。 新学期の準備等で先生も忙しそうで、プライベートで会うことが全くなかった。 「真帆ちゃん? 見すぎだよ!」 「え、そう?」 有紗に頭を掴まれ、正面に戻される。 「それでは、まずは着任式を行います」 着任式。忘れていた…。 新しい数学教師が来るのだった。 1年生の時、早川先生の他に伊東という先生がいた。 この人も数学教師。数学補習同好会の副顧問だったのだが、不祥事を起こし新学期から転任させられた。 その代わりが、今日着任する。 今年度着任する先生は5名。 そのうち1名が、数学教師だった。 「初めまして! 桜川商業高校から転任してきました、浅野遥希(あさのはるき)と言います! 担当科目は数学、年齢は26歳です! どうぞ皆さん、宜しくお願いします!」 浅野先生。小柄な感じの男性。濃い茶髪で、天然なのか髪の毛がウェーブしている。 日頃ネクタイを結ばないのか少し捻じれている上に、スーツに着られている感が強い。 「若い…男」 早川先生は『ご年配の女性数学教師』が来ることを祈っていた。 その願いとは真逆の人物…。 私は横目でチラッと早川先生を見た。 いや……目!! 目が怖い!!! 早川先生は腕を組んで、睨むような目付きでステージ上の浅野先生の方を見ていた。
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