第三話 特別な日

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「本当に有り得ない!! 何なのさアイツ!!!」 昼休みの中庭。 相変わらず誰もいなくて貸し切り状態だ。 「真帆ももう少し強く言ったら!? 神崎も調子に乗る一方だよ!!!」 「うーん…というかあれよね。先生と付き合っているって言っちゃえば楽になるよね」 …頭ではそう思うけれど。 本当は言えない。 万が一神崎くんが他の人にバラしたら…考えるだけで怖すぎる。 裕哉さんの“教師”という仕事。 それは絶対に守り抜かないといけない。ご両親の話を聞いた時、強くそう思った。 「というか、浅野先生が軽音部で数学補習同好会の話をしたってことよね? 何で話したのかな」 「そりゃ…軽音部に最初1時間くらい行けない理由を話さないといけないからじゃない?」 「あぁそうか…」 手に持ったサンドイッチにかぶりつく。 神崎くん…本当に厄介だ…。 「どうしよう。神崎くんに対して何をすればいいんだろ?」 「きちんと振る。これに尽きるんじゃない?」 「何度も断っているけど…」 「彼氏がいるって言えば、諦めると思う」 「それが言えないから…」 「まぁ…そうよねぇ~」 ベンチの背もたれにもたれ掛かって真上を向いた。 雲一つない青空。心地良すぎる…。 「…ん?」 「どうしたの?」 「あ、いや…」 真上を向くと、背面にある校舎の4階までが良く見える。 そのうち1つの窓からこちらを見ている人がいた。 「……誰だろう」 頭を戻し、ベンチから立ち上がってその窓を見る。 しかし、そこにはもう人の姿は無かった。 「どうしたの、真帆」 「いや、人が覗いていたんだけど。いなくなっちゃった」 「神崎じゃない?」 「えー! そうだとしたらドン引き」 この背面の校舎は特別教室棟。生徒では無いと思うけど…。 何だかモヤモヤした気持ちのまま、昼休みが終わった。
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