第三話 特別な日

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<同好会> 「藤原さん、お悩みですか」 「…え?」 放課後の数学科準備室。 有紗と早川先生の3人がいた。浅野先生はまだ来ていないみたい。 「悩んでいるように見えますか」 「見えるから言っております」 「流石、彼氏だね!」 「茶化さないで下さい」 早川先生は小さく息を吐いて椅子に座った。 私と有紗はソファに座る。 「藤原さんが以前、『何か悩みがあればお話をしてください。支えになりたい』…そう言ってくれましたが、僕だって同じ気持ちです。僕も支えさせて下さい。だから…悩みがあればお話して下さいよ」 「先生…」 優しそうな瞳でこちらを見てくれる先生。 正直、神崎くんのことを話すのは少し躊躇う。 「………え、何? この空気感。もしかして、私ったらまた蚊帳の外?」 横に居る有紗は顔を真っ赤にして、頬に手を当てている。 先生はもう有紗のことはお構いなしだ。 「…浅野先生がいつ来るか分からないので、また相談させて下さい。先生、ありがとうございます」 「分かりました。また教えて下さいね」 そう言ってお互いに微笑んだ。 有紗も私たちを見ながら微笑んでいる。 「真帆と先生、本当にお似合い。何だか羨ましい」 「的場さんもお似合いですよ。浅野先生と」 「はぁ!?」 先生の唐突な一言に有紗が飛び跳ねた。 「そういえば真帆も言っていたよね!! 相性が良いって!! 何で浅野なの? 勘弁して欲しいんだけど!!」 「騒がしい者同士です」 「私は似た者同士だと思う」 「はぁ!? 先生も真帆も止めてよ!!!!」 それに私はメッチャ大人しいわ!!! と言いながら天井に向かって叫んだ。 有紗…それだよ、それ。 暫く雑談をしていると、バタバタと廊下を走る音が聞こえて来た。 その音は数学科準備室に近付いてくる。 「すみません!! 遅くなりました!!」 勢いよく開いた扉から浅野先生が現れる。 凄く息切れをしているようだ。 「先生、またラクダ色の集団に絡まれていたの?」 「ラクダ色…そうね、僕も人気者だから困っちゃう」 「…先生に隙があり過ぎるんだよ。そもそもラクダ色は校則違反だからさぁ、注意したらどう? 仮にも担任じゃん」 「そうだねぇ…」 珍しく浅野先生に食い掛かる有紗。どうした? 「人気者だから困るって…それで済ませちゃダメだと思うよ」 「……」 あ、分かった。 さっき早川先生にお似合いと言われて怒っているんだ。 それを浅野先生にぶつけるのは違うと思うけれど…。 言っていることは正しいから余計ないことは言わないようにしよう。うん。 「まぁ、メンバーも揃いましたし。活動を始めましょうか」 「はい」 浅野先生は困ったように頭を搔いている。 数学科準備室の空気は、早川先生の一言で勉強モードに切り替わった。
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