第三話 特別な日

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<誕生日> やって来る。 1年で1番のビッグイベント。 誕生日。 この前のデートの時に、早川先生の誕生日が私の翌日だと知った。 去年は出会って間も無かったから、当然何もしていない。 今年は…絶対に祝う!! 「真帆~!! ハッピーバースデー!!!!」 「ありがとう有紗!」 朝、私を迎えに来てくれた有紗は、開口一番にその言葉を発した。 5月21日。私の誕生日だ。 「真帆のママもおめでとうね~!!1」 「有紗ちゃん、ありがとう!」 玄関の扉から叫んで、お母さんにも伝えてくれる有紗。 本当、良い子だよ…。 「真帆は17歳になったのかぁ~」 「そうそう」 「早いよねぇ、つい最近まで小学生だった気がする!!」 「それは盛りすぎだよ~」 そう言いながら、頭では別のことを考える。 今日が私の誕生日ということは、明日は早川先生の誕生日だ。 …祝いたい。 そう思っているけれど。 実際、何をしたら良いか分からない。 「ねぇ、有紗。明日は早川先生の誕生日なんだ」 「えぇ!? 1日違い!?」 そんなの運命じゃん!! そう言いながら有紗はジャンプし始めた。 「そう。でさ、何をしたら良いと思う?」 「うーん…そうねぇ…」 盛大に何かをしたいけれど。 所詮私は、親に生活させて貰っている高校生。 バイトをしているわけでも無いし、お金を掛けてどうこうというのは難しい。 「気持ちじゃない? おめでとうって一言言うだけでも伝わるよ」 「そうだけれど…」 折角の誕生日。 先生のことを祝ってくれる身内が近くにいない今、そのポジションに立つのは私だ。 因みに、先生のご両親のことは有紗に話していない。 有紗とは言え、先生も知られたくないだろうし。 そこはきちんとお口チャック。 「真帆、分かった! あれだ。真帆にリボンを巻いてからさ。プレゼントは? わ・た・し♡ とか!!」 「…ふざけないで。漫画の見過ぎだよ」 「えぇ~、絶対良いと思ったのに」 そんなことできないよ。 ドン引きされて終わるのが目に見える。 「まぁ、今日中は考えてみるよ」 「何か良い方法が思い浮かぶといいね」 「うん」 「そう言えばこれ、プレゼント!! 真帆この前、ボールペン壊していたでしょ? だからそれを選んだの~!」 「え、ありがとう!!!」 同好会の活動中、力が入りすぎてボールペンの先端が割れてしまった。 それを見ていた浅野先生が『馬鹿力』なんて言うから、一時的に私のあだ名になっていた。 「有紗、見ても良い?」 「もちろん!」 貰った袋を開けると、水色の水玉が描かれている4色ボールペンと、メモ帳が3冊出てきた。 「可愛い! さすがセンスある!」 「というか、真帆の好みを良く知っているからね! 真帆が好きそうな物は手に取るように分かるよ!」 「ふふ、付き合い長いもんね!」 「そうよ! 突然湧き出てきた早川先生には負けないんだから!」 え、何その早川先生を敵対視したようなセリフ。 今までそんなこと言ったことあったっけ? 唐突な言葉に目が点になった。 早川先生は有紗に嫉妬するし。 有紗は謎に敵対視しているし。 この2人は一体なんなの? そう思うと同時に、面白すぎて思わず笑いが零れた。
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