第五話 「教師と生徒」以上のこと

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「今日はね、来たる文化祭に向けて文化祭実行委員会をこのクラスから選出します。2回目の文化祭だから分かると思うけれど、実行委員は本当に大変。部活入っている子とか、難しいんじゃないかな?」 始業式が終わった後のホームルーム。 文化祭実行委員を決めることになった。 そう言えば、夏休みに言っていたな。 私を指名するとか…しないとか。 結局うやむやになったけれど。 「そこでね! 今年度は僕が指名させてもらおうと思っているんだ! 部活の融通が利く、藤原さんにお願いしようと思っているんだけど、みんなはどうかな?」 「実行委員面倒だしね…」 「去年やったけど、もうやりたくないかな…」 そんなクラスメイトの声が聞こえてくる。 違う声を上げたのは、有紗だった。 「先生、真帆は別に部活の融通なんて利かないよ! 実行委員は先生が指名するのではなく、まずは立候補者を募って…そのあと、投票なり指名なりするんじゃないの!?」 「そんなことないよ。他のクラスにもいるよ。担任からの指名で委員になる人」 「いないよ!!! 知らんけど!!」 有紗が浅野先生を睨む。 浅野先生が私を実行委員にしようと企んでいるという話もしたから。 それで有紗は反抗してくれているのだろう。 「ねぇ、先生。実行委員って2人よね」 「え…うん」 「じゃあ、俺もやるわ。藤原さんと」 そう言ったのは…神崎くんだった。 はぁ!? と今にも言いそうな有紗の表情。 しかし…現在はホームルーム中。 私と神崎くんに何があったかを知らない人の方が多いから、ここで何か言われると困る。 有紗は今にも出てきそうな言葉を必死に抑えながら震えていた。 「神崎くんは駄目だよ。君は軽音部として文化祭は頑張ってもらわないといけないから」 「大丈夫だよ。僕なら両立できる」 浅野先生も本当は言いたい別の言葉を抑えたように見える。 私が怪我をした一件。 神崎くんのせいだから…。 …何だろう、この状況。 しばらく無言の時間が続き、授業終了の本鈴が鳴った。 浅野先生は焦ってまとめに入る。 「まぁ、分かった。取り敢えず、うちのクラスは藤原さんと神崎くんでいいかな。誰かはやらないといけないし。ね、みんなどう?」 クラスのみんなは頷いて拍手をした。 「じゃあ決定。今日の放課後、早速打ち合わせがあるから第一会議室に集まってね」 有紗は大きな溜息をついて席に着いた。 私も…溜息が零れる。 文化祭実行委員会の担当は浅野先生で、神崎くんと一緒に委員をやるなんて。 何をどう考えても最悪な状況だ。 不機嫌そうな早川先生の顔が頭に浮かぶ。 どうやって説明しよう…。 一難去ってまた一難。
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