第六話  非日常がもたらすもの

10/14
前へ
/94ページ
次へ
その後、決めごとや準備は順調に進み、ファッションショーは生徒会からの許可が下りた。 参加生徒の募集や、プログラムの構成などやることは沢山ある。 「さっきの津田さんの様子。多分、先生のことが好きだよね」 「……」 3組の2人が席を外している間。 神崎くんと雑談をしていた。 「藤原さんの顔、怖かったし。ライバルだとか思った?」 「……」 だから何。 言わないでほしい。嫉妬してしまうから。 「……」 私が無言を貫いていると、神崎くんは別のことを切り出した。 「藤原さん、実行委員会始まってから同好会に行かれて無いんじゃない?」 「………そうだけど、何」 「何って…俺も軽音部行かれてないから、同じかなって思っただけ」 「……軽音部はステージ演奏あるんじゃなかったっけ? 行かなくていいの?」 「俺くらいになると練習行かなくても大丈夫」 「あ……そう」 予想以上にやることが多すぎて、数学補習同好会に行く時間が無い。 ここが終わったら来てねと早川先生に言われていたけれど、終わるのが遅すぎて数学科準備室に行っていない。 「でも、俺は嬉しいよ。部活行けなくても、藤原さんと一緒にいられるから」 「…ふぅん」 「いや…ふぅんって………流石に傷付くわ」 別に、興味ないし。 そして微妙な空気感の中、現れる浅野先生。 「藤原さん、僕の指名でやってもらったのに、ありがとうね。頑張ってくれて」 「…別に、仕事を全うしているだけですから」 「捻くれないでよ」 浅野先生は向かいに座って頬杖をついて私を見る。 それを見た神崎くんは怪訝そうな顔をした。 「…浅野先生、見すぎじゃないですか」 「神崎くんには関係ないよ」 「何、浅野先生も何か思うことあるのですか」 「神崎くんには関係無いって」 不意に蘇る、伊東がいた時の記憶。 いつもこうなる。 …何で? 「あー、浅野先生が私の席に座ってる!!」 「おかえり2人とも」 2人が戻ってきた。 浅野先生は席から立ち、私と目を合わせて微笑んだ。 何その意味深な笑顔。 …本当にやりづらい。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加