第七話 2人を繋ぐ物

1/8
前へ
/94ページ
次へ

第七話 2人を繋ぐ物

<将来> 文化祭が終わり、一息ついたのも束の間。 明日から中間考査週間に入る。 「あぁ!! 数学嫌い、大嫌い!! 嫌い嫌い!!!」 「何だか僕も嫌いと言われている気がする」 「そうよ!! 浅野先生も嫌い!! 大嫌い!!」 日常に戻った数学補習同好会。 また4人で数学の勉強をしていた。 「もうね、浅野先生。文化祭の一件から本当に嫌い。早川先生と真帆の邪魔をするなんて、本当に許さないんだから」 「…有紗…」 有紗に起こったことをいつも通り話したのだが…今回は失敗だったかもしれない。 数学補習同好会の活動に影響が出ている。 「的場さんと浅野先生はお似合いですから。そちらでくっつかれたら宜しいです」 「……はぁ!? 早川先生、寝言は寝て言ってくれる!?」 「寝言ではありません。僕がずっと前から思っていることです」 早川先生もとんでもないことを言うものだ。 有紗の親友としては…浅野先生とくっついて欲しくない。 「僕は今も、藤原さんのことが好き」 「だから…もう言うなって!! 浅野先生、数学補習同好会から追い出すよ!!!」 「…的場さんの言う通り、浅野先生を追い出すのは賛成です。ですが、そうすると的場さんに数学を教える人がいなくなりますけど。宜しいでしょうか?」 「宜しいでしょうか、じゃないのよ!! 早川先生が教えてくれるという選択肢は無いの!?」 「僕は藤原さん専属ですから」 「まだそれ言っているの!? あぁぁぁもう!! ここの数学教師ってやつは…!!!!」 有紗はイライラしながら頭を掻く。 本当に…カオス。 誰か助けて。 「しかし、的場さん点数伸びましたよね。小テストの点数は今までと比べ物にならないくらいです」 「でしょ? 私の努力の賜物よ!」 「いえ、浅野先生と相性が良いからです」 「はぁ!?」 「的場さんと浅野先生のペアは伸びると、最初から思っていました」 「不快すぎる!!! 私の努力でしょうが!!!」 ギャアギャアと騒がしい有紗を横目に、私はプリントに目を向ける。 全く………早川先生はすぐに有紗を怒らすんだから…。 当の浅野先生は何も言わず、ただただ黙っていた。 文化祭が終わった日から、浅野先生は早川先生の前でも、普通に感情を伝えてくるようになった。 早川先生は何も言わず、至って普通に接しているけれど…。 心の中ではどう思っているのか分からない。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加